NPO法人 山口県東部泌尿器科研究会
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泌尿器科でよく見る病気
尿路結石
1)疫学
現在人口10万人あたり100人弱の人が尿路結石を有していると思われます。
ただし、一生のうち結石になる人は100人あたり5−6人です。しかし、食生活の変化により年々増加しています。
2)成因
結石発生の2割はなんらかの要因によるものですが、8割の結石は原因不明です。 
カルシウムを含む結石が約80%を占めます。 その他に尿酸、リン酸マグネシウムアンモニウム、シスチン等による結石があります
  1. 女性より男性のほうが2倍強発生頻度が高いといわれています。 栄養素の一日摂取量の約半分を夕食に摂取し、就寝までの時間が短い傾向が男性結石患者にあります。 夜間における尿中の結石形成促進物質の濃縮が結石形成につながっているのではないかと考えられています。
  2. 水を多く摂ると尿が希釈され結石の発生は減り、気温が高い時期には発汗が増えることで尿結石成分濃度が上がるため結石の発生が多いことから、一日の尿量の多寡が結石の発生に深くかかわっています。
  3. 食事による影響としては、ウスターソース、緑色野菜(ホウレン草)、コーヒー、ココア等はシュウ酸含有量が多いため、摂りすぎで結石が発生しやすくなります。
    小児において野菜食、チーズ、アイスクリームの過剰摂取、偏食から結石が発生することが報告されています。
  4. 尿路感染が原因による結石
    大腸菌等の尿素分解酵素を有する細菌は、尿素からアンモニアを生成し、尿をアルカリ化します。そのためアルカリに不溶性のリン酸塩が析出し結石形成をきたします。
    神経因性膀胱により慢性の膀胱炎が存在すると膀胱結石を合併しやすくなります。
  5. 内分泌・代謝異常による結石としては以下の疾患が知られています。
    • 副甲状腺機能亢進症
    • 高尿酸血症、高尿酸尿症
    • 過カルシウム尿症
    • 過シュウ酸尿症
    • シスチン尿症
    • クッシング症候群
  6. 薬剤により結石を起こすことがあります。
    アセタゾラミド(緑内障治療剤)、活性型ビタミンD、尿酸排泄促進剤、プロテアーゼ阻害剤(AIDS治療薬)が主な薬剤です。
  7. 先天性疾患による結石として海綿腎があります。
  8. 遺伝によるものとして、シスチン尿症、腎尿細管性アシドーシスなどがあります。
3)症状
症状は結石の存在する部位により様々です。
  1. 腎杯結石
    無症状のものが多く、治療をしないで経過観察することがあります。
    感染を起こすと、背部痛、血尿、膿尿をきたすことがあります。
  2. 腎盂結石
    無症状のことが多いですが、腎盂尿管移行部にはまり込むと鈍痛から疝痛発作をきたします。
  3. 尿管結石
    尿管に結石が嵌入し閉塞をきたすと疝痛発作が生じ易いです。
    側腹部の痛み、血尿がみられることが多いです。
    膀胱に近い部位の尿管結石では残尿感や頻尿等の膀胱炎症状をきたすことがあります。
  4. 膀胱結石
    頻尿等の膀胱炎症状、血尿、膿尿がみられることがあります。
  5. 尿道結石
    男性の尿道に結石が嵌屯すると排尿困難、痛み、血尿をきたします。女性にはまれです。
4)結石と診断するために必要な検査
  1. 検尿
    顕微鏡的血尿から肉眼的血尿までを認めます。しかし、結石による尿管閉塞時には血尿を欠くこともあります。
    軽度の膿尿を認めることが多い。
    尿沈渣に見られる結晶の種類から結石成分を推量することができます。
  2. 画像診断
    (1) 腹部超音波検査
    (2) 腹部単純撮影
    (3) CT
    (4) 静脈性腎盂造影
    上記の検査を組み合わせて結石の位置、大きさ、結石以外の疾患との鑑別を行います。
5)治療
治療としては主なものとして以下の方法があります。
  1. 体外衝撃波砕石術」 (ESWL)
    体外に設置した機械で発生させた衝撃波を結石に集中させることで砕石を行います。
    多くの尿路結石が無麻酔、外来治療が可能となってきています。
    胎児への衝撃波の影響について安全性が確立されていないため妊婦には禁忌です。
    卵巣に対しての衝撃波の安全性も確定していないため、妊娠可能年齢の女性の下部尿管結石に対するESWLも禁忌です。
    出血傾向のある患者、抗凝固剤服用中の患者も出血の危険性が高く禁忌です。
  2. 経皮的腎砕石術」 (PNL)
    背部から腎臓内に内視鏡を挿入し砕石を行います。
    腎臓内の容積の大きな結石の場合ESWL単独では砕石が困難なため、本法が単独またはESWLと併用して行われます。
  3. 経尿道的尿管砕石術」 (TUL)
    経尿道的に内視鏡を尿管に挿入し、腎尿管の結石を砕石します。
  4. 経尿道的膀胱砕石術
    経尿道的に内視鏡を膀胱内に挿入し、膀胱の結石を砕石します。
6)結石の予防
  1. 水分摂取を多くすることで、尿中のカルシウムやシュウ酸の濃度が低下することと尿の流れをよくすることで結石形成の予防になります。
  2. カルシウム、シュウ酸等を多く含む食品の過剰摂取を控える。
  3. 血液中の尿酸値が高い場合、尿酸を下げる薬を内服する。
 
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