【慢性前立腺炎】 |
発症・原因 |
慢性前立腺炎の発症の形態には、2つの発症形態が知られている。 1つは急性前立腺炎からの移行で、急性症状の速やかな症状の改善・消失をみず、完治することなく症状が遷延する場合である。 もう1つは、始めより比較的軽い症状で始まり、急速に増悪することはないが、症状が十分改善しない、あるいは改善増悪軽快を繰り返す場合である。
前者の急性前立腺からの移行の場合の発生原因は、急性前立腺炎の場合と同様、病原力の強い細菌あるいは病原性微生物であり、急性期の治療が十分奏効し得なかったものか、菌交代を起こしたものと考えられる。 一方後者においては、さらに次の2つの原因が考えられる。
- 弱毒性細菌や微生物の感染で、始めより軽い症状で、またゆっくり発症したものと思われる。
- 細菌や微生物の感染による炎症ではなく、前立腺液の鬱滞、リンパの鬱滞、鬱血、あるいは前立腺結石等、病原性微生物以外の物理的、化学的な慢性的な刺激に起因した炎症性反応によるものが考えられます。
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症 状 |
急性前立腺炎と同じような症状が現れることが多いのですが、急性に比べ軽症です。 発熱、排尿障害(排尿困難、尿閉)等もそれほど顕著には現れません。 一般には会陰部の痛みや不快感、また頻尿、残尿感等の膀胱・尿道刺激症状等が主なもので、症状も軽い場合が多いのですが、比較的症状が長期にわたり完全に消失しないため、訴えは強い場合も少なくありません。
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検査・診断 |
慢性前立腺炎の検査は急性前立腺炎の場合とほぼ同様であり、検体検査は検尿、前立腺液の検査、細菌培養等が主体であり、血液生化学的検査は施行されても強い異常を認めることはほとんどない。
理学的検査として直腸診による前立腺触診を行い、直接前立腺部の軽度~中等度の圧痛や触感等を検討する。
病原性微生物に起因する慢性前立腺炎の診断は比較的容易であるが、非感染性慢性前立腺炎は自覚症状、あるいは理学所見以外異常所見が少なく、診断はやや困難である。
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治療法 |
病原性微生物に起因する感染性慢性前立腺炎の場合は、抗菌剤あるいは抗生剤の投与が治療の中心となり、必要に応じて鎮痛剤や消炎剤、特に前立腺炎の場合は植物製剤の投与も有効であります。
一方非感染性慢性前立腺炎の場合は、抗菌剤や抗生剤は投与されず、いわゆる消炎剤や植物製剤の投与による抗炎症治療を行います。 さらに、前立腺の鬱血や前立腺液の鬱滞の改善の目的で前立腺マッサージ等も行われることもあります。 また前立腺温熱療法も有効であると報告されています。
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