NPO法人 山口県東部泌尿器科研究会
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泌尿器科でよく見る病気
腎臓の病気
腎・尿管腫瘍 腎の感染症 腎不全
 
●腎・尿管腫瘍



【腎腫瘍】
尿をつくる尿細管細胞から発生する腎細胞癌が中心で、ここでは腎細胞癌について説明します。
症状 血尿、腹部腫瘤、疼痛が古典的な症状ですが,腫瘍が小さい場合は症状がなく、検診や他の疾患の治療中に偶然発見されることが多いです。
診断 超音波、CT、MRI、血管造影検査等の画像検査により診断します。
治療法
  1. 手術療法
    1. 根治的腎摘除術
      • 腎細胞癌に対しては癌のある腎臓を周囲の副腎、脂肪織を腎被膜に被われたまま、一塊に切除する根治的腎摘除術が行われます。
         
    2. 腹腔鏡下腎摘除術・腎部分切除術
      • 腫瘍の大きさ場所によって、皮膚、筋組織の大きな切開を必要としない腹腔鏡下での腎摘除術や、腎腫瘍の部分を切除して残りの腎臓の部分を温存する腎部分切除術が行われています。
         
  2. 免疫療法・腎動脈塞栓術
    遠隔転移があったり、切除不可能な腫瘍の場合や、全身状態が悪かったり,高齢で手術不可能な場合に行います。
     
 
【腎盂尿管腫瘍】
腎盂、尿管の移行上皮から発生する移行上皮癌が中心で、ここでは腎盂尿管癌について説明します。
症状 血尿や尿管の閉塞による側腹部痛を認めます。
診断 尿路造影、CT等の画像検査、腎盂尿管鏡、尿細胞診検査で診断します。
治療法
  1. 手術療法
    1. 腎尿管全摘除術
      • 腎盂尿管癌に対して腎臓、尿管および尿管開口部周囲の膀胱壁を合併切除する手術方法で、標準的治療として行われています。
    2. 腹腔鏡下腎尿管摘除術
      • 腫瘍の大きさ場所によって、皮膚、筋組織の大きな切開を必要としない腹腔鏡下での腎尿管摘除術が行われます。
  2. 腎温存療法
    根治性に関しては腎尿管摘除術に劣りますが、より低侵襲な治療として、全身状態の悪い患者、単腎、腎機能障害のある患者に対しては尿管内へのBCG投与、抗癌剤投与や、腫瘍部の尿管の部分的な切除術が試みられています。また、最近の内視鏡手術の進歩により、内視鏡下での尿管腫瘍切除も行われています。
    1. 尿管(腎盂)内BCG投与、抗癌剤投与
    2. 尿管部分切除
    3. 内視鏡下腫瘍切除
       
  3. 化学療法・放射線療法
    手術療法後の補助療法や、転移がある時に行われる場合があります。年齢や合併症などにより手術療法が困難な場合に、放射線療法が選択されることもあります。
     
●腎の感染症
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎の2つに分けられます。
特殊な型に腎膿瘍や腎結核などがあります。 腎盂腎炎が重症化すると菌血症(敗血症)という生命を脅かす重篤な病状に至ることがあります。
  1. 急性腎盂腎炎
    一般には女性に多く、男性は比較的まれです。
    女性に多い理由として尿道が短く膣からの雑菌が入りやすいことがあげられます。 症状は高熱(夕方に多い)、どちらか一方の側腹部痛や腰背部痛、先行する膀胱炎症状などがあります。 典型例では腰部をたたくと痛みが増強します。 悪心・嘔吐などの消化器症状や頻尿、排尿痛などの排尿症状を伴うこともあります。
     
    診断は症状と尿検査が必須で、尿検査所見は白血球の増加を認め、膀胱炎と同じ所見を示します。 画像検査では、超音波検査やCTが有用なことも多いです。 典型例では腫大した腎や腎実質の造影不良域を認めます。 両方の腎臓に同時に炎症を起こすことはまれです。
     
    治療は入院の上、安静と点滴が必要です。 抗生剤の点滴と十分な輸液をおこない、1週間ほどの入院が必要となります。 細菌が膀胱から尿管をとおって腎臓へ上昇(逆流)したと考えられますので、症状が落ち着いたら膀胱造影検査をおこなって造影剤の腎臓への逆流(膀胱尿管逆流症)を確認することもあります。 特に再発しやすい方は原因となる尿路疾患を泌尿器科専門医のもとで検査する必要があります。 原因菌には大腸菌や肺炎桿菌などがありますが、適切な抗生剤と十分な尿の排泄が保たれていれば、それほど治療に困ることはありませんが、糖尿病を患っている方やステロイドを内服している方は、時に重症化する(敗血症)ことがありますので、十分な注意が必要です。
     
  2. 慢性腎盂腎炎
    一般的には尿路の閉塞あるいは尿流の停滞を伴っていることが多く、何らかの基礎疾患を有している場合に多くみられます。 具体的には腎結石に細菌がついてしまった場合や、尿管狭窄や閉塞に対して尿管ステントや腎ろうといった尿路に管が留置されている患者様によくみられます。また膀胱尿管逆流症を治療せずに放置した場合にも慢性腎盂腎炎になりやすいです。
     
    治療は原則として基礎疾患に対する治療を行いますが、腎臓の内圧が上昇しないようにすることが大切です。 腎臓の内圧が上昇し長期にわたって持続すると腎機能障害がすすみ(逆流性腎症といいます)、腎機能が回復しなければ腎不全となり透析が必要になってくることもありますので、泌尿器科専門医のもとでの管理が必要です。
     
●腎不全
腎不全とは、腎臓の働き(老廃物の排泄、体の水分量の調節、体液の電解質バランスの調節、血圧の調節、ビタミンDの活性化により骨を強くする、造血刺激ホルモンの分泌による赤血球数の調節等)が障害された状態をいい、急性腎不全と慢性腎不全に分けられます。
 
急性腎不全はさまざまな原因(脱水症、出血、薬剤、敗血症、急性糸球体腎炎、心不全、膀胱腫瘍、尿管腫瘍、前立腺腫瘍、尿路結石等)により腎臓の働きが急激かつ高度に障害された病態です。 尿量低下、浮腫(むくみ)、高血圧、呼吸困難、尿毒素の上昇による嘔吐、血清カリウム値の上昇による不整脈などの症状が急激に進行し、治療が遅れると死亡することもある病気です。 
 
治療は原因となっている病気の治療、水分制限、利尿剤投与、高カリウム血症の補正を行いますが、それらの治療にて効果がないようであれば、一時的に血液透析や腹膜透析などの透析療法を行います。 予後は原因となった疾患により異なり、腎臓の働きが回復することも、回復しないこともあります。
 
慢性腎不全とは、数ヶ月〜数十年以上の長い経過ののち、先にあげたような腎臓の働きがゆっくりと悪くなり回復しない状態のことをいいます。 この状態を放置しておくと、体に過剰の水分が溜まり浮腫(むくみ)、肺水腫(仰向けになると息が苦しい)、尿毒素と呼ばれる毒素が溜まり頭痛、嘔吐、全身倦怠、食欲不振などの自覚症状、造血ホルモンの低下による貧血、高カリウム血症による不整脈(最悪の場合心停止)、高血圧症などをきたし、生命を維持することが困難となります。 
慢性腎不全をきたす原因疾患としては、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、のうほう腎、腎硬化症などがありますが、近年生活習慣病の増加に伴い糖尿病性腎症がかなり増加しています。 治療としては、血液透析(主に病院にて対外で血液を浄化しきれいになった血液を再び体にもどす治療で1回3〜5時間、週3回程度行う)、腹膜透析(おなかに腹膜カテーテルという管を手術で入れ、患者自身でカテーテルより透析液をおなかに約1.5〜2リットル注入し、1日4回透析液を入れ替える治療)があり、いずれも一生涯行わねばなりません。 腎臓移植がもっともすぐれた治療法ですが、我が国ではまだ十分に普及した治療ではありません。
 
腎・尿管腫瘍 腎の感染症 腎不全

泌尿器科でよく見る病気 <INDEX>
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尿路結石 性感染症 ED



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