危険因子 |
病因として、停留精巣(精巣が陰嚢まで降りていない状態)の方の場合、停留精巣がない方より3〜14倍の高いリスクで発生するといわれています。 また、ウイルス性精巣炎にかかったことがある場合、外傷後に精巣が萎縮した場合、胎児期の母体内でエストロゲンが過剰であった場合などとの関連性が指摘されています。 他に、社会的要因として性的早熟化と発生率の増加との関連性も指摘されています。
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症状 |
通常は一側の陰嚢内に結節を触知したり、無痛性の陰嚢腫大で、患者さん自身によって発見されることが多いです。 精巣上体炎や精索捻転症などの病気でも陰嚢内にしこりを触れますが、これらの場合痛みや熱を伴うことが多いという特徴があります。 他に、腹部や肛門、あるいは陰嚢の鈍い痛みや重たい感じを伴うこともあります。
進行性(病状が進行した)精巣腫瘍では、陰嚢内容の腫大の他、腫瘍の転移部位によりそれに伴う症状を認めることもあります。
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診断 |
診断には泌尿器科医師による触診所見の他、超音波検査、MRI検査、CT検査といった画像診断が有用です。 超音波検査では、陰嚢内の正常精巣の有無、病変部の位置や内部構造から診断することが出来ます。 MRI検査は、超音波診断で鑑別困難な場合に施行します。 精巣内の出血や嚢胞(液体がたまった袋)などの器質的診断に有用です。CT検査は主に転移部位の検索・診断に用いられます。 精巣腫瘍の転移は腹部の大動脈、大静脈周囲のリンパ節が多いのですが、そのほか、肝転移、肺転移、脳転移の有無などを診断します。 また、精巣腫瘍の構成成分の診断や初期の転移診断や治療効果の判定、再発の早期診断に腫瘍マーカー(AFP、HCG)が有用です。
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治療法 |
精巣腫瘍患者に対しては、たとえ遠隔転移を有していても、診断的意味も含め、まず精巣摘除術が施行されます。 摘出された精巣腫瘍から組織型を判定し、さらに様々な画像診断から病期(進行度)を確定し、それに基づいて治療法を決定します。
治療には、外科的治療(手術)、全身化学療法、放射線療法などがあります。 最近は効果の高い抗癌剤と手術療法の併用で、転移のある癌でさえも8〜9割の確率で治すことが出来るようになってきました。
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